かがくじょうにおけるけんいのかちとへいがい
科学上における権威の価値と弊害

冒頭文

科学上における権威の効能はほとんど論ずる必要はないほど明白なものである。ことに今日のごとく各方面の科学は長足の進歩を遂げてその間口の広い事、奥行の深い事、既往の比でない。なかなか風来人が門外から窺(うかが)い見てその概要を知る事も容易ではない。のみならずおのおの独立の名称を有(も)っている科学の分派、例えば物理とか化学とかいうものの中にまた色々の部門がおのおの非常な発達をしている。たとえ日進月歩の

文字遣い

新字新仮名

初出

1915(大正4)年頃

底本

  • 寺田寅彦全集 第五巻
  • 岩波書店
  • 1997(平成9)年4月4日