たんていしょうせつのみりょく
探偵小説の魅力

冒頭文

ある時、Wと云(い)ふ中年の刑事が私にこんな事を話し聞かせた。 『探偵と云(い)ふ仕事はちよつと考へると、如何(いか)にも面白さうな仕事らしく見えます。然し、その性質如何(いかん)に拘(かゝは)らず、一體(たい)人の犯罪乃至(ないし)は祕密を探し尋ねて、それを白日(はくじつ)にさらし出すと云(い)ふ事はあんまり好い氣持のするものぢやありません。ましてそこには人知れぬ非常な苦心骨折(ほねをり)

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「新青年 第五巻第十號 夏季増刊『探偵小説傑作集』」博文館、1924(大正13)年

底本

  • 新青年 第五巻第十號 夏季増刊『探偵小説傑作集』
  • 博文館
  • 1924(大正13)年