びわでん |
| 琵琶伝 |
冒頭文
一 新婦が、床杯(とこさかずき)をなさんとて、座敷より休息の室(ま)に開きける時、介添の婦人(おんな)はふとその顔を見て驚きぬ。 面貌(めんぼう)ほとんど生色なく、今にも僵(たお)れんずばかりなるが、ものに激したる状(さま)なるにぞ、介添は心許(こころもと)なげに、つい居て着換を捧げながら、 「もし、御気分でもお悪いのじゃございませんか。」 と声を密(ひそ)めてそと問いぬ。 新婦は凄冷(
文字遣い
新字新仮名
初出
「国民之友」1896(明治29)年1月
底本
- 泉鏡花集成2
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1996(平成8)年4月24日