ほうきぼしのはなし
彗星の話

冒頭文

一 むかし、ギリシャの片田舎(かたいなか)に、ケメトスという人がいました。小さい時に両親(ふたおや)を失って、お祖父(じい)さんの手で育てられていましたが、非常な乱暴者で、近所の子供達と喧嘩(けんか)をしたり、他人の果樹園に忍び込んで、林檎(りんご)や無花果(いちじく)の実を盗んだり、野山を駆け廻ったりして、その日その日を遊び暮らしていました。 お祖父さんは非常に心配して、いろいろ

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1922(大正11)年7月

底本

  • 豊島与志雄童話集
  • 海鳥社
  • 1990(平成2)年11月27日