てんぐわらい
天狗笑

冒頭文

一 むかし、ある山裾(やますそ)に、小さな村がありました。村のうしろは、大きな森から山になっていまして、前は、広い平野にうつくしい小川が流れていました。村の人たちは、平野をひらいて穀物(こくもつ)や野菜を作ったり、野原に牛や馬を飼ったりして、たのしく平和にくらしていました。 村の人たちは皆仲よしでした。それで、子供たちも皆お友だちでした。大人(おとな)たちがたんぼや牧場で働いている

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1926(大正15)年7月

底本

  • 豊島与志雄童話集
  • 海鳥社
  • 1990(平成2)年11月27日