どろぼう
泥坊

冒頭文

一 ある所に、五右衛門(ごえもん)というなまけ者がいました。働くのがいやでいやでたまりません。何か楽に暮らしてゆける途(みち)はないかと考えていますと、むかし石川五右衛門(いしかわごえもん)という大盗人(おおぬすびと)がいたということを聞いて、自分も五右衛門という名前だから、泥坊(どろぼう)になったらいいかも知れないと考えました。 それで彼は家(うち)を飛び出して、ある橋の下に住み

文字遣い

新字新仮名

初出

「少年倶楽部」1921(大正10)年12月

底本

  • 豊島与志雄童話集
  • 海鳥社
  • 1990(平成2)年11月27日