たぬきのおまつり
狸のお祭り

冒頭文

一 むかし、ある片田舎(かたいなか)の村外(むらはず)れに、八幡様(はちまんさま)のお宮がありまして、お宮のまわりは小さな森になっていました。 秋の大変月のいい晩でした。その八幡様の前を、鉄砲を持った二人の男が通りかかりました。次郎七(じろしち)に五郎八(ごろはち)という村の猟師(りょうし)でありまして、その日遠くまで猟に行って、帰りが遅くなったのでした。どういうものか、その日は一

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1921(大正10)年2月

底本

  • 豊島与志雄童話集
  • 海鳥社
  • 1990(平成2)年11月27日