ぎんのふえときんのけがわ |
銀の笛と金の毛皮 |
冒頭文
一 むかし、あるところに、エキモスという羊飼いの少年がいました。父も母もないみなし児で、毎日、羊のむれの番をしてくらしていました。 青々とした野原に、羊たちはたのしくあそんでいます。野の花のあいだに、うつくしい蝶がとびまわっています。木立(こだち)のなかや空たかくに、いろんな鳥がさえずっています。日がうららかにてっています。 エキモスは草の上にねころんで、歌をうたいました
文字遣い
新字新仮名
初出
「幼年倶楽部」1932(昭和7)年1月ー6月
底本
- 豊島与志雄童話集
- 海鳥社
- 1990(平成2)年11月27日