きんのめぎんのめ
金の目銀の目

冒頭文

まっ白いネコ 九州の北海岸の、ある淋しい村に、古い小さな神社がありました。その神社のそばのあばら屋に、おじいさんとおばあさんとが住んでいました。おじいさんは、神社の神主で、ふだんは、近くの人達のためにお祈りをしてやったり、子供達にお習字(しゅうじ)のけいこをしてやったりしていました。えらい学者だとの噂(うわさ)でした。 この老人夫婦といっしょに、十二—三歳の男の子がいました。老人達

文字遣い

新字新仮名

初出

「主婦之友」1936(昭和11)年1月ー7月

底本

  • 豊島与志雄童話集
  • 海鳥社
  • 1990(平成2)年11月27日