キンショキショキ |
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冒頭文
一 今のように世の中が開けていないずっと昔のことです。ある片田舎(かたいなか)の村に、ひょっこり一匹の猿(さる)がやって来ました。非常に大きな年とった猿で、背中に赤い布をつけ、首に鈴をつけて、手に小さな風呂敷包(ふろしきづつ)みを下げていました。 村の広場で遊んでいた子供達は、その不思議な猿を見付けて、大騒ぎを始めました。けれども猿は平気な顔付で、別に人を恐がるふうもなく、わいわい
文字遣い
新字新仮名
初出
「赤い鳥」1925(大正14)年6月
底本
- 豊島与志雄童話集
- 海鳥社
- 1990(平成2)年11月27日