かげぼうし
影法師

冒頭文

一 うしろに山をひかえ前に広々とした平野をひかえてる、低いなだらかな丘の上に、小さな村がありました。村の東の端(はし)に、村一番の長者(ちょうじゃ)の屋敷(やしき)がありまして、その塀(へい)の外の広場は、子供たちの遊び場所でした。 白く塗った土塀(どべい)、左手はゆるやかな山すそで、いろんな灌木(かんぼく)や草がはえています。前には小さな川が流れていて、魚が泳いでいます。川の向こ

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1927(昭和2)年1月

底本

  • 豊島与志雄童話集
  • 海鳥社
  • 1990(平成2)年11月27日