おつきさまのうた
お月様の唄

冒頭文

一 お月様の中で、 尾(お)のない鳥が、 金の輪をくうわえて、 お、お、落ちますよ、 お、お、あぶないよ。 むかしむかし、まだ森の中には小さな、可愛(かわい)い森の精達が大勢(おおぜい)いました頃のこと、ある国に一人の王子がいられました。王様の一人子(ひとりご)でありましたから、大事に育てられていました。王子はごくやさしい、心の美しい方でした。 王子は小さい時

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1919(大正8)年10月ー11月

底本

  • 豊島与志雄童話集
  • 海鳥社
  • 1990(平成2)年11月27日