ジャン・クリストフ 01 じょ
ジャン・クリストフ 01 序

冒頭文

フランス大革命を頂点とする十八世紀より十九世紀への一大転向、隷属(れいぞく)的封建制度の瓦解と自由統一的立憲制度の成育とは、新世界をもたらすものと考えられていた。そして実際新世界は開かれた。しかしそこにはさらに本質的な暗雲が深くたちこめていた。その暗雲を払わんがためには、さらに十九世紀より二十世紀への一大転向が必要であった。視界を広げるの努力より、視界を清めるの努力となってきた。外皮を脱するの苦し

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • ジャン・クリストフ(一)
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1986(昭和61)年6月16日