「くさのしんぺいししゅう」かいせつ
「草野心平詩集」解説

冒頭文

草野心平のことを、懇意な人々は心平さんと言う。親愛の気持ちをこめた呼称である。肉付き豊かな大きな顔に、ロイド眼鏡をかけ、口髭をたくわえ、そして蓬髪、とこう書けば、なんだか寄りつきにくい人のようにも見えるけれど、知人を認めるとすぐに、如何にも嬉しげな笑みを浮べ、なつかしげな眼色を漂わすところ、まさに心平さんなのである。その全体の風貌が、物事に拘泥せず、茫洋としている。 だが、その茫洋さのう

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 豊島与志雄著作集 第六巻(随筆・評論・他)
  • 未来社
  • 1967(昭和42)年11月10日