ピンカンウーリのアマ
ピンカンウーリの阿媽

冒頭文

忙中の小閑、うっとりと物思いに沈む気分になった時、いたずらにペンを執って、手紙でも書いてみようという、そんな相手はないものだろうか。もとより、用事の手紙ではなく、眼にふれ耳にはいる事柄の、埒もない独白だ。 窓前の木の枝に小鳥が鳴いてるとか、薄霧がはれて日の光りがさしてきたとか、象牙のパイプに脂の色がほんのりしみてきたとか、銭湯に行こうかそれともちょっと酒でも飲もうか……などなど、意味もな

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 豊島与志雄著作集 第六巻(随筆・評論・他)
  • 未来社
  • 1967(昭和42)年11月10日