ぶんがくいぜん |
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冒頭文
A 現に中央アラビア国の元首で、全アラビア人の信望を一身に担い、モハメッドの再来と目せられて、汎回教運動に多大の刺戟を与えている怪傑、イブン・サウドが、二十数年前、中央アラビアの砂漠の中を、少数の手兵を率いて疾駆していた頃の話である。 当時、イブン・サウドは三十三四歳の血気盛り、出没自在を極め、幾度か危険に瀕しても屈しなかった。強大なアジマン族が四方の村々を侵している時、彼はひそかに兵を集め、
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 豊島与志雄著作集 第六巻(随筆・評論・他)
- 未来社
- 1967(昭和42)年11月10日