こきょう
故郷

冒頭文

「もう遅すぎる、クレオンよ、わしの魂はもうテエベを去った。そして、わしを過去に結びつけていたあらゆる絆は断たれた。わしはもう国王ではない。富も、光栄も、我身さえも棄て去った、名もない一人の旅人に過ぎないのだ。」 (アンドレ・ジィド——「エディプ」) こういう言葉のうちには、何かしら悲壮な魅惑的なものがあって、人の心を打つ。それは単なるセンチメンタリズムから来るのではない。

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 豊島与志雄著作集 第六巻(随筆・評論・他)
  • 未来社
  • 1967(昭和42)年11月10日