エスキス
エスキス

冒頭文

大地に対するノスタルジーを忘失したる児等よ。—— 「冷かな東北の微風、ミルク色の海と湛えた霧のなかに、巖のように聳ゆる鉄筋コンクリートの建物の屋上から、朗かな妖精の声が響きます。屋上のまわりをかこむ鉄柵や、それにからんだ針金の網は、枯れた海藻のように黝ずみ、四隅の避雷針は、錆びくちた鎗のようで、昼の明るみは盲いていますが、妖精の声は朗かです。妖精は、永遠の若さと稚気と自由。今、十分間の休憩時

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 豊島与志雄著作集 第六巻(随筆・評論・他)
  • 未来社
  • 1967(昭和42)年11月10日