げっぴょうをして |
| 月評をして |
冒頭文
月評をして、あらゆる情実より脱せしめよ。 情実は、真実を蔽い隠す最も危険なる霧である。この霧を通して眺むる時、物の輪廓はぼやけ、物の色彩は輝きを失う。そして其処には怪しい畸形な幻がつっ立ってくる。 情実に囚われた批評が文壇にも如何に多いかは、私が茲に喋々するにも及ぶまい。勿論吾々は、全く面識のない人の作品に接する時と、親しい友人の作品に接する時とは、その間の気分に多少の差異がある。然しその
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 豊島与志雄著作集 第六巻(随筆・評論・他)
- 未来社
- 1967(昭和42)年11月10日