きのさきをおもう
城崎を憶ふ

冒頭文

雨(あめ)が、さつと降出(ふりだ)した、停車場(ていしやば)へ着(つ)いた時(とき)で——天象(せつ)は卯(う)の花(はな)くだしである。敢(あへ)て字義(じぎ)に拘泥(こうでい)する次第(しだい)ではないが、雨(あめ)は其(そ)の花(はな)を亂(みだ)したやうに、夕暮(ゆふぐれ)に白(しろ)かつた。やゝ大粒(おほつぶ)に見(み)えるのを、もし掌(たなごころ)にうけたら、冷(つめた)く、そして、ぼ

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 鏡花全集 巻二十七
  • 岩波書店
  • 1942(昭和17)年10月20日