さくひんのりんりてきひひょう
作品の倫理的批評

冒頭文

私は今茲に作品の倫理的批評に就いて一二のことを云ってみたい。此の頃大分倫理的批評ということが人の口に上ってきたし、また将来も益々深く進んでゆかなければならないと思うので。但し茲で云う所はほんの雑感という位のものに止めておく。 私はよく、作者の態度が徹底していないとか、体験が足りないとか、真の苦しみ方が足りないとか云う言葉を聞く。確かに、我国の作者を見廻してもまた私自身の作品を顧みても、そ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 豊島与志雄著作集 第六巻(随筆・評論・他)
  • 未来社
  • 1967(昭和42)年11月10日