しろいあさ ――「まさおのどうわ」―― |
白い朝 ――「正夫の童話」―― |
冒頭文
芝田さんの家の門は、ちょっと風変りです。その辺は屋敷町で、コンクリートの塀や、鉄格子の門扉や、御影石の門柱などが多く、至って近代的なのですが、そのなかに、道路より少しひっこんで、高さ一間半ほど、太さ二抱えほどの丸木が、二本立ち並び、木の格子がとりつけてあります。それが芝田さんの家の門です。丸木の門柱の方は、郊外の植木屋さんにでもありそうなもので、古く朽ちかけていますが、木の格子扉の方は、新らしく白
文字遣い
新字新仮名
初出
「改造」1938(昭和13)年7月
底本
- 豊島与志雄著作集 第三巻(小説Ⅲ)
- 未来社
- 1966(昭和41)年8月10日