てっついのおと
鉄槌の音

冒頭文

天(てん)未(いまだ)に闇(くら)し。東方(とうはう)臥龍山(ぐわりうざん)の巓(いたゞき)少(すこ)しく白(しら)みて、旭日(きよくじつ)一帶(いつたい)の紅(こう)を潮(てう)せり。昧爽(まいさう)氣(き)清(きよ)く、神(しん)澄(す)みて、街衢(がいく)縱横(じうわう)の地平線(ちへいせん)、皆(みな)眼眸(がんぼう)の裡(うち)にあり。然(しか)して國主(こくしゆ)が掌中(しやうちう)の

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 鏡花全集 巻二十七
  • 岩波書店
  • 1942(昭和17)年10月20日