もりのあじさい
森の紫陽花

冒頭文

千駄木(せんだぎ)の森(もり)の夏(なつ)ぞ晝(ひる)も暗(くら)き。此處(こゝ)の森(もり)敢(あへ)て深(ふか)しといふにはあらねど、おしまはし、周圍(しうゐ)を樹林(きばやし)にて取卷(とりま)きたれば、不動坂(ふどうざか)、團子坂(だんござか)、巣鴨(すがも)などに縱横(たてよこ)に通(つう)ずる蜘蛛手(くもで)の路(みち)は、恰(あたか)も黄昏(たそがれ)に樹深(こぶか)き山路(やまぢ)

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 鏡花全集 巻二十七
  • 岩波書店
  • 1942(昭和17)年10月20日