にわとり

冒頭文

石田小介が少佐参謀になって小倉(こくら)に着任したのは六月二十四日であった。 徳山と門司(もじ)との間を交通している蒸汽船から上がったのが午前三時である。地方の軍隊は送迎がなかなか手厚いことを知っていたから、石田はその頃の通常礼装というのをして、勲章を佩(お)びていた。故参の大尉参謀が同僚を代表して桟橋(さんばし)まで来ていた。 雨がどっどと降っている。これから小倉までは汽車で

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 阿部一族・舞姫
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1968(昭和43)年4月20日、1985(昭和60)年5月20日36刷改版