とうあんらくだい
答案落第

冒頭文

「小説修業に就いて語れ。」という出題は、私を困惑させた。就職試験を受けにいって、小学校の算術の問題を提出されて、大いに狼狽している姿と似ている。円の面積を算出する公式も、鶴亀算の応用問題の式も、甚だ心もとなくいっそ代数でやればできるのだが、などと青息吐息の態(てい)とやや似ている。 いろいろ複雑にくすぐったく、私は、恥ずかしい思いである。 スタートラインに並んで、未(ま)だ出発の合

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • もの思う葦
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1980(昭和55)年9月25日