じさくをかたる
自作を語る

冒頭文

私は今日まで、自作に就いて語った事が一度も無い。いやなのである。読者が、読んでわからなかったら、それまでの話だ。創作集に序文を附ける事さえ、いやである。 自作を説明するという事は、既に作者の敗北であると思っている。不愉快千万の事である。私がAと言う作品を創る。読者が読む。読者は、Aを面白くないという。いやな作品だという。それまでの話だ。いや、面白い筈だが、という抗弁は成り立つわけは無い。

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • もの思う葦
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1980(昭和55)年9月25日