しゅうでんしゃにのるようば
終電車に乗る妖婆

冒頭文

怪談も生活様式の変化によって変化する。駕籠ができれば駕籠に怪しい者が乗り、人力車ができれば人力車に、鉄道馬車ができれば鉄道馬車に、汽車ができれば汽車に、電車ができれば電車に、自動車ができれば自動車に、飛行機ができれば飛行機に、怪しい者が乗るのである。大正十三年の春の比芝宇田川町を経て三田の方へ往く終電車があると、風呂敷を背負って、息をせかせかとさしている六十位のよぼよぼの婆さんがひょいと乗るので、

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本怪談全集 Ⅳ
  • 桃源社
  • 1974(昭和49)年8月5日