くすりゆびのまがり
薬指の曲り

冒頭文

——これは、私が近比(ちかごろ)知りあった医学士のはなしであります—— 私の父と云うのは、私の家へ養子に来て、医師(いしゃ)になったものでありまして、もとは小学校の教師をしておりました。其の当時は、医師(いしゃ)に免許状を持たした時で、それまで医師をやっていた家へは、内務省からお情け免状をくれました。で、父は祖父が亡くなりますと、其のまま家業を継いで医師になりました。 父が亡く

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本怪談全集 Ⅰ
  • 桃源社
  • 1974(昭和49)年7月5日