せいかつ
生活

冒頭文

なににこがれて書くうたぞ 一時にひらくうめすもも すももの蒼さ身にあびて 田舎暮らしのやすらかさ 私はこのうたが好きで、毎日この室生(むろう)さんのうたを唱歌のようにうたう。「なににこがれて書くうたぞ」全く、このうたの通り、私はなににこがれているともなく、夜更(ふ)けて、ほとんど毎日机に向っている。そうして、やくざなその日暮らしの小説を書いている。夕御飯が済んで、小さい女中と二人で

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 林芙美子随筆集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2003(平成15)年2月1日