此の話は、私が少年の時、隣家の老人から聞いた話であります。其の老人は、壮(わか)い時師匠について棒術を稽古しておりましたので、夏の夜など私に教えてくれると云って、渋染にした麻の帷子の両肌を脱いで、型を見せてくれました。ちっぽけな私は、老人の云うなりに、長い太い樫の棒を持って前へ出て、かちかちと老人の棒に当てました。棒は敵の頭と股間を狙って打ち込むのであります。 「もっと、力を入れて、もっと、力を