せかいかいだんめいさくしゅう 06 しんごうしゅ
世界怪談名作集 06 信号手

冒頭文

「おぅい、下にいる人!」 わたしがこう呼んだ声を聞いたとき、信号手は短い棒に巻いた旗を持ったままで、あたかも信号所の小屋の前に立っていた。この土地の勝手を知っていれば、この声のきこえた方角を聞き誤まりそうにも思えないのであるが、彼は自分の頭のすぐ上の嶮(けわ)しい断崖の上に立っている私を見あげもせずに、あたりを見まわして更に線路の上を見おろしていた。 その振り向いた様子が、どういう

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 世界怪談名作集 上
  • 河出書房新社
  • 1987(昭和62)年9月4日