のらいぬ
のら犬

冒頭文

一 常念御坊(じょうねんごぼう)は、碁(ご)がなによりもすきでした。きょうも、となり村の檀家(だんか)へ法事(ほうじ)でよばれてきて、お昼すぎから碁(ご)をうちつづけ、日がかげってきたので、びっくりしてこしをあげました。 「まあ、いいじゃありませんか。これからでは、とちゅうで夜になってしまいます。今夜は、とまっていらっしゃいましよ。」 と、ひきとめられました。 「でも、小僧(こぞう

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1932(昭和7)年5月号

底本

  • 新美南吉童話全集 第一巻 ごんぎつね
  • 大日本図書
  • 1960(昭和35)年6月20日