序 この小さな童謠集を「歌時計」と名づけたのは、べつに深い意味はない。 わたくしはただ、驚異のねぢを卷いて、そのほどけるがままに、澄み切つた歌をうたひたいと思ふから、あへてかういふ名をつけたのであるが、赤や紫や青の、夢のきれはしを投げつけて、少年のわたしの心をさざなみ立たせたところの、あの「歌時計」の歌のやうな、それほどの魅力がわたしの童謠にあるかないか。 だが、そんな反