ほっけそうのかいい
法華僧の怪異

冒頭文

奈良県吉野郡(よしのぐん)掖上村(わきかみむら)茅原(かやはら)に茅原寺(ちげんじ)と云う真宗の寺院があった。其の寺院は一名吉祥草院(きっしょうそういん)。其処に役行者(えんのぎょうじゃ)自作の像があって、国宝に指定せられているが、其の寺院に名音(みょうおん)と云う老尼がいた。 私が其の名音に逢(あ)った時は、昭和三年で六十位であった。其の名音は、最初泉(いずみ)の某と云う庵にいて有徳の

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 怪奇・伝奇時代小説選集3 新怪談集
  • 春陽文庫、春陽堂書店
  • 1999(平成11)年12月20日