ふろくようのはなし
風呂供養の話

冒頭文

中国山脈といっても、播磨(はりま)と但馬(たじま)の国境になった谷あいの地に、世間から忘れられたような僅か十数戸の部落があったが、生業は云うまでもなく炭焼と猟師であった。 それは明治十五六年比(ごろ)の秋のことであった。ある日、一人の旅僧が飄然(ひょうぜん)とやって来て、勘右衛門(かんえもん)という部落でも一番奥にある猟師の家の門口に立って、一夜の宿を乞(こ)うた。 その日、亭

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 怪奇・伝奇時代小説選集3 新怪談集
  • 春陽文庫、春陽堂書店
  • 1999(平成11)年12月20日