ぬまたのかや
沼田の蚊帳

冒頭文

安政(あんせい)年間の事であった。両国(りょうごく)矢(や)の倉(くら)に栄蔵(えいぞう)と云う旅商人(あきんど)があった。其の男は近江(おうみ)から蚊帳を為入(しい)れて、それを上州(じょうしゅう)から野州(やしゅう)方面に売っていたが、某時(あるとき)沼田へ往ったところで、領主の土岐家(ときけ)へ出入してる者があって、其の者から土岐家から出たと云う蚊帳を買って帰り、それを橘町(たちばなちょう)

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 怪奇・伝奇時代小説選集3 新怪談集
  • 春陽文庫、春陽堂書店
  • 1999(平成11)年12月20日