にょせん
女仙

冒頭文

市ヶ谷(いちがや)の自証院(じしょういん)の惣墓(そうばか)の中に、西応従徳(さいおうじゅうとく)と云う法名を彫った墓がある。それは西応房(さいおうぼう)と云う道心坊主(どうしんぼうず)の墓で、墓の主の西応房は、素養などはすこしもなかったが、殊勝な念仏行者で、生涯人の悪を云わず、他人の罪を被(き)せられても弁解せず、それで咎(とが)められる事でもあるとあやまり入り、それが後になって明白になっても、

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 怪奇・伝奇時代小説選集3 新怪談集
  • 春陽文庫、春陽堂書店
  • 1999(平成11)年12月20日