そうしきのぎょうれつ
葬式の行列

冒頭文

鶴岡(つるおか)の城下に大場宇兵衛(おおばうへえ)という武士があった。其の大場は同儕(なかま)の寄合があったので、それに往っていて夜半比(よなかごろ)に帰って来た。北国でなくても淋しい屋敷町。其の淋しい屋敷町を通っていると、前方から葬式の行列が来た。夕方なら唯(と)もかく深夜の葬式はあまり例のない事であった。大場は行列の先頭が自分の前へ来ると聞いてみた。 「何方(どなた)のお葬式でござる」

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 怪奇・伝奇時代小説選集3 新怪談集
  • 春陽文庫、春陽堂書店
  • 1999(平成11)年12月20日