ぎびょうのつか
義猫の塚

冒頭文

遠州(えんしゅう)の御前崎(おまえざき)に西林院(せいりんいん)と云う寺があった。住職はいたって慈悲深い男であったが、ある風波の激しい日、難船でもありはしないかと思って外へ出てみた。すると、すぐ眼の下になった怒濤(どとう)の中に、船の破片らしい一枚の板に一匹の子猫がしがみついているのが見える。そこで住職は山をかけおりて漁師の家へ往って、 「可哀そうだから、たすけてやってくれ」 と云った

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 怪奇・伝奇時代小説選集3 新怪談集
  • 春陽文庫、春陽堂書店
  • 1999(平成11)年12月20日