かいじんにいのる
海神に祈る

冒頭文

一 普請奉行の一木権兵衛(いちきごんべえ)は、一人の下僚(したやく)を伴(つ)れて普請場を見まわっていた。それは室津港(むろつこう)の開鑿(かいさく)工事場であった。海岸線が欠けた銍(かま)の形をした土佐の東南端、俗にお鼻の名で呼ばれている室戸岬(むろとみさき)から半里の西の室戸に、古い港があって、寛文(かんぶん)年間、土佐の経世家として知られている野中兼山(のなかけんざん)が開修したが、港

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 怪奇・伝奇時代小説選集3 新怪談集
  • 春陽文庫、春陽堂書店
  • 1999(平成11)年12月20日