おにびをおうぶし
鬼火を追う武士

冒頭文

鶴岡(つるおか)城下の話であるが、某(ある)深更(よふけ)に一人の武士が田圃路(たんぼみち)を通っていると、焔のない火玉(ひのたま)がふうわりと眼の前を通った。焔のない火玉は鬼火(ひとだま)だと云う事を聞いていた武士は、興味(おもしろ)半分に其の後を跟(つ)けて往(い)った。 火玉は人間の歩く位の速度でふうわりふうわりと飛んでいた。武士は其の時其の火玉を斬ってみたくなった。武士は足を早め

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 怪奇・伝奇時代小説選集3 新怪談集
  • 春陽文庫、春陽堂書店
  • 1999(平成11)年12月20日