へいみんのむすめ
平民の娘

冒頭文

一 此(こ)の日(ひ)も周三(しうざう)は、畫架(ぐわか)に向(むか)ツて、何(どう)やらボンヤリ考込(かんがへこ)むでゐた。モデルに使(つか)ツてゐる彼(かれ)の所謂(いわゆる)『平民(へいみん)の娘(むすめ)』は、小(こ)一時間(じかん)も前(まへ)に歸(かへ)ツて行(い)ツたといふに、周三は尚(ま)だ畫架の前を動(うご)かずに考へてゐる。何(なに)を考へてゐたかといふと、甚(はなは)だ漠然

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「文芸倶楽部」1907(明治40)年8月1日

底本

  • 三島霜川選集(中巻)
  • 三島霜川選集刊行会
  • 1979(昭和54)年11月20日