そうせきさんのロンドンにおけるエピソード なつめふじんにまいらす
漱石さんのロンドンにおけるエピソード 夏目夫人にまゐらす

冒頭文

夏目夫人、——「改造」の正月号を読んで私が此一文を書かずには居れぬ理由は自然に明かになると思ひます、どうぞ終まで虚心坦懐に御読み下さい。 漱石さんが東京帝国大学英文学の卒業生で私共の先輩であつたことは曰ふ迄もありません。『英国詩人の天地山川に対する観念』などを『哲学雑誌』で田舎書生が驚嘆の目に読んだのは三十余年の昔です。そして此渇仰の大家の風貌に初めて接したのは『塩釜街道に白菊植ゑて何を

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻31 留学
  • 作品社
  • 1993(平成5)年9月25日