序 「或は人を天上に揚げ或は天を此土に下す」と詩の理想は即是也。詩は閑人の囈語に非ず、詩は彫虫篆刻の末技に非ず。既往數百年間國詩の經歴に關しては余將た何をか曰はん。思ふに所謂新躰詩の世に出でゝより僅に十餘年、今日其穉態笑ふべきは自然の數なり。然れども歳月遷り文運進まば其不完之を將來に必すべからず。詩は國民の精髓なり、大國民にして大詩篇なきもの未だ之あらず。本邦の前途をして多望ならしめば、本邦詩界