しんしはっせいじだいのおもいで |
新詩発生時代の思ひ出 |
冒頭文
ブランデスやテインㇴなどに其例を見る通り、文學史を書く者の中には、勝手な豫定の觀念を基とし、これに當てはまる材料のみを引用して、何とかかとか纏りを附け度がる弊風がある。漢文學史の上にも澤山の類例があらう。元遺山の編と稱せられて、そして實際其編である事は間違ひない、と思はるゝ「唐詩鼓吹」に、明末清初の錢謙益(牧齋)が序文を書いて、中に明代三百年來の詩學の弊風を攻撃し、 『あゝ唐人一代の
文字遣い
旧字旧仮名
初出
底本
- 明治文學全集 58 土井晩翠 薄田泣菫 蒲原有明 集
- 筑摩書房
- 1967(昭和42)年4月15日