世の中には途法も無い仁(じん)もあるものぢや、歌集の序を書けとある、人もあらうに此の俺に新派の歌集の序を書けとぢや。ああでも無い、かうでも無い、とひねつた末が此んなことに立至るのぢやらう。此の途法も無い処が即ち新の新たる極意かも知れん。 定めしひねくれた歌を詠んであるぢやらうと思ひながら手当り次第に繰り展げた処が、 高きより飛び下りるごとき心もて この一生を 終るすべなきか