こうがい
郊外

冒頭文

⦅一⦆ 時田(ときだ)先生、名は立派なれど村立(そんりつ)小学校の教員である、それも四角な顔の、太い眉(まゆ)の、大きい口の、骨格のたくましい、背(せい)の低い、言うまでもなく若い女などにはあまり好かれない方の男。 そのくせ生徒にも父兄にも村長にもきわめて評判のよいのは、どこか言うに言われぬ優しいところがあるので、口数の少ない代わりには嘘(うそ)を言うことのできない性分、それは目で

文字遣い

新字新仮名

初出

「太陽」1900(明治33)年10月

底本

  • 武蔵野
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1939(昭和14)年2月15日、1972(昭和47)年8月16日改版