ぎじゅつとかがくとのがいねん
技術と科学との概念

冒頭文

要点だけをごく手短かに叙べねばならぬ。 まず技術から始めよう。技術について最も間違いを少なくするには初めに之を物質的生産技術に限定して考えることが必要である。当分この限定を胸に置いた上で、技術の既成の概念に当って見ると、最も広く行なわれているのは何と云っても、「技術の哲学」という二十世紀特有な哲学による規定であろう。その重なものに共通する因子は、技術の世界をば自然界と精神界(観念界・道徳

文字遣い

新字新仮名

初出

「帝国大学新聞」1941(昭和16)年6月9日号

底本

  • 戸坂潤全集 第一巻
  • 勁草書房
  • 1966(昭和41)年5月25日