すずし
すゞし

冒頭文

「すゞし」といふ語は「すが〳〵し」のつゞまりたるにやと覚ゆれど、意義稍(やや)変りておもに気候に関(くわん)して用うる事となり、「涼」の字をあてはむるやうにはなりぬ。月令には「涼風至白露降」といふを七月としたれば涼風は初秋の風なるべし。されば支那の詩亦多くは初秋に涼の字を用う。すゞしといふ語は万葉には無きかと思はる。古今集には みな月つこもりの日よめる 躬恒 夏と秋とゆきかふ空

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆37 風
  • 作品社
  • 1985(昭和60)年11月25日